任意後見契約は優秀な終活ツールです(三戸町ケア会議にて)

令和5年2月16日、三戸町地域ケア会議にて、任意後見契約についてお話しさせて頂きました。任意後見契約は非常に優秀な終活ツールであるにも関わらず、まだまだ活用される方が少ないという現状があります。より多くの方に正しい情報が伝わるよう、「はくさんだい後見事務所」の兵藤代表からは、事例を交えて更にわかりやすくお話しして頂きました。

任意後見契約とは

任意後見制度は、認知症や障がいなどで、将来自身の判断能力が不十分となった後に、本人に代わってしてもらいたいことを備えるための制度です。

本人の判断能力があるうちに、財産管理や介護サービス締結といった療養看護に関する事務の全部または一部を信頼できる方に依頼し、引き受けてもらうための契約を結びます。

この契約を任意後見契約といい、委任する内容は公正証書によって定められるものです。依頼する本人を委任者、引き受ける方を任意後見受任者(後に、任意後見人)といいます。

任意後見契約は成年後見制度の一つ

成年後見制度とは

よく聞く言葉で成年後見制度がありますが、任意後見制度は成年後見制度のうちの一つです。

成年後見制度には、法定後見制度任意後見制度の大きく2つの種類があります。任意後見制度は、判断能力が不十分になる前に、本人が自分の意思で後見人を決定でき、ここが最大のメリットだと言われています。

一方で法定後見制度は、判断能力が不十分になってしまった後に、周囲の方などが申し立てを行って家庭裁判所が後見人を選定する制度となっています。

成年後見制度の利用の前に知っておくべきこと⇒

任意後見契約のメッリト・デメリット

メッリト
  • 自分の意思で自由に後見人を選べる
  • 後見人に依頼したい支援内容を自由に設計できる
デメリット
  • 不要な契約をしてしまったとき、任意後見人には取消権がない
  • 死後の財産管理や葬儀、お墓のことは頼むことができない

任意後見契約にはデメリットがあるものの、委任契約と一緒に結び早めの対策をすることで、不要な契約を防ぐことができたり、任意後見契約と一緒に死後事務委任契約を結ぶことで、葬儀やお墓のことを頼むことができます。

任意後見には3つのパターンがある

一番目の移行型は、任意後見契約で最も多く使われている類型です。

任意後見契約に関するQ&A

Q.任意後見人に死後の葬儀等を頼めるの?

たとえば、葬儀費用の支払いなど、本人の死後事務は、任意後見契約の対象外です。葬儀など死後の事務をお願いしたい場合には、任意後見契約とセットで死後事務委任契約を結んでおくとよいでしょう。

Q.任意後見人に身元保証人になってもらえるの?

入院・入所・入居時の身元保証、医療行為についての代諾も任意後見契約の対象外となります。しかし、しっかりと財産の管理をしてもらうことで、入院や入所時の費用について、滞納の心配がないため、病院や施設側は安心でき、任意後見人がついている方は、身元保証人を求める必要がないと判断されることが多くあります。

Q.任意後見人へ支払う報酬はいくらかかるの?

報酬は、本人と任意後見受任者との間で自由に決めることができます。

法律上、特約のない限り任意後見人は無報酬です。そのため、報酬を支払うためには、公正証書に報酬規定を盛り込んでおく必要があります。報酬の相場は、任意後見人が第三者の場合、月2万円~3万円程度が一般的です。

手続きの流れの各項目ごとに注意するべき点がありますので、任意後見制度の利用にあたっては、専門家を交えて検討していくことをお勧めいたします。

当事務所では任意後見制度の利用にあたって、ご相談から契約内容の精査、当事務所や提携事業所が任意後見受任者になり、お手伝いさせて頂くことが可能です。