自筆の遺言書が無効になる7つの理由

自筆での書遺言は作成も書き直しも自由にでき、費用もかからない為、利用する方も多いのですが注意が必要です。誤った遺言書を作成しないよう、以下を参考に作成してみてくださいね。

自筆で書かれていない

2019年1月から、財産目録のみパソコン作成や代筆が可能になりました。しかし遺言書の本文はあくまでも自筆ですから、遺言者自身の手書きでなければ無効になります。

ちなみに、不動産の登記事項証明書や預金通帳の写しを財産目録として添付することも可能ですが、すべてのページに署名と押印が必要です。

また、自筆ではない、CDやDVD、メモリーなどの電子記録媒体に録音や録画した遺言も効力が生まれず、無効になります。

作成日がない

遺言書の作成日が自筆で書かれていない、または作成日が特定できない場合も無効になります。「○年○月○日」と書かれていれば問題はありませんが、「○年○月吉日」の場合は無効な遺言書になってしまいます。「末日」や「遺言者の満90歳の誕生日」の場合は日付を特定できるため無効にはなりませんが、カレンダーどおりに作成日を書いておく方が無難でしょう。

署名や押印がない

自筆の遺言書には遺言者の署名が必要であり、一般的には戸籍上の氏名を記載します。芸名や通称、ニックネームなどを記載する例もあり、遺言者が特定できれば無効にはなりませんが、相続人や第三者を困惑させるような署名は避けるべきでしょう。

また、押印がない遺言書も無効になるので注意してください。認印や拇印でも有効とされていますが、後日のトラブルを防止するため、実印を使用するのが無難です。

訂正方法が間違っている

自筆の遺言書は加筆や訂正、削除があっても無効にはなりません。ただし訂正方法には細かなルールがあるので注意してください。

文言を訂正する場合は訂正箇所に二重線を引き、その上に訂正印を押印します。訂正箇所の傍らに新たな文言を記入し、余白部または遺言書末尾に「本行○字削除、○字追加」や「本遺言書○行目の甲を乙に訂正した」などの文言を自書し、さらに署名する必要があります。訂正印は遺言書の署名に使ったものと同じ印鑑を使ってください。

内容が不明瞭

自筆の遺言書を作成する場合、誰に何を相続させるのか、または遺贈するのか明確に書いてください。「○○町の土地を○○に託す」と書いた場合、土地を相続させるのか、今後の管理だけを任せたいのかわかりません。「相続させる」「遺贈する」と明確に書いておけば、遺言書が無効になることもないでしょう。

また、第三者が見ても特定できるよう、相続財産も明確に記入しなければなりません。特に不動産は地番や面積、地目などの情報も記入しておきましょう。

夫婦共同で作成

2名以上によって作成された遺言書を「共同遺言」といい、民法975条によって禁止されています。夫婦共同で書いたとしても無効になるので注意してください。

なぜなら、共同で作成した場合、本人の意志だけで自由に遺言を撤回することができなくなるからです。

遺言能力がない人が作成

認知症を発症している人には十分な判断力がないため、遺言書を作成しても無効になってしまうケースがあります。ただし、認知症の症状には個人差があり、記憶力は衰えているが理解力は十分残っているという場合もあります。認知症を断続的に発症するケースもありますが、一時的に判断力が戻っている場合、2名以上の医師の立ち合いにより作成された遺言書は有効となる場合もあります。

また、遺言能力には年齢も関係しており、15歳未満の人が書いた遺言書は無効になります。親権者が代理で作成したとしても無効になるので注意してください。

遺言書の作成には一定のルールがあり、正しく書かない場合には、すべて無効になってしまうリスクがあります。専門書などを参考に正しい遺言書を作成することをおすすめいたします。

また、すでに遺言書を作成している方は、出来上がった遺言書が無効にならないかをチェックしてみると安心ですね。